東日本大震災から2年後に私は「はしれ ディーゼルきかんしゃ」(絵:鈴木まもる 童心社)というノンフィクション絵本を書きました。取材しながら緊急燃料輸送を実現させた多くの人たちの縁の下の力に改めて気付かされました。そして今、医療関係者の皆さまに心から感謝したいと思います。

3月3日は母の一周忌でした。親戚や友人たちからお花やメールがきて母を静かに偲びました。母が入院していた時にずっと羽織っていたピーチ色のカーディガンがあります。3日は朝から母のそのカーディガンを着て過ごしました。カシミアの暖かさ。母はこの暖かさを感じながら病院のベッドにいたのだなと思い、悲しくなりました。その夜、母が小さい頃に作ってくれたひな寿司を夫と私の分、作りました。母が初めてひな寿司をつくってくれた時、あまりの可愛さにどこから食べていいのかと困っている私の様子を見て、母が笑っていたのを覚えています。思い出すとあたたかな気持ちになります。大切にしたい幸せな記憶です。
ジンチョウゲの香りが、漂ってきます。いつもと同じ春がきました。
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