2010年02月10日

第61話 おんぼろ車

2月、かなり寒いです。それなのに、ジンチョウゲのつぼみが、日に日にふくらんでいるのには、びっくり。冬と春がいりまじっている感じがします。

さて、うちのおんぼろ車の話です。14年のっていて、20万3000キロ走っています。知り合いの車やさんで、夫と息子たちが一目ぼれをして買いました。色は、ワインレッド。なんでも、『羊の皮をかぶったオオカミ』といわれている車で、おとなしそうだけど、力があり、スピードがでるのだとか。

思い出深い場面には、いつもこの車がいました。免許(めんきょ)とりたての息子たちが運転をして、石川県の叔父(おじ)の家まで行ったり、兵庫県から運ばれてきた柴犬まるを、運送会社の事務所までとりにいったり。千葉にいったときは、帰りに動かなくなり、たいへんでした。なにせ、おんぼろですから。

1.jpg
レッカー:春、千葉にお花つみにいっての帰り、動かなくなり、東京から車やさんにきてもらいました。レッカー車にのせるられるところ。

10年前の夏のことです。私の弟がとつぜんたおれ、入院しました。私たち家族は、病院の近くのホテルにとまりこみ、24時間、交代でつきそいました。そのときに、この車は、夜中、家までの往復や、人の送り迎えなど私たちの足としてよく走ってくれました。かなしいことに、弟は天国にいってしまいました。するとそのあとすぐに、車も故障して動かなくなり、気づいたら、タイヤのホイールも一つとんでなくなっていました。なんだか、つらい夏をいっしょにのりきった家族のような気がしました。弟、そしてあとをおうようにいってしまった父。この二人が、息子たちに運転をおしえてくれたのも、この車でした。

それが、いよいよ、昨年の12月に車検(しゃけん)がきれて、オイルももれはじめ、なおすとかなりお金もかかるので、廃車(はいしゃ)することになりました。車やさんにはこぶさいごの日、息子たちは車をピカピカにみがきました。となりのおじさんが、事情をきいて、「そうか。気がすむまで、みがいてあげたらいいよ!」と声をかけてくれたそうです。出発前に、家族みんなで車と記念写真をとり、さようならをしました。

そう。したはずでした。それが、1月3日の夜、私の夢にこの車が出てきたのです。よくおぼえていないのですが、ワインレッドの車がずっと見えているんです。その話を家族にしたら、「まだ、まにあうかも…」。すぐに、車やさんにきいてみたら、「まだ、だいじょうぶ」という返事。
そして今、車が帰ってきました。

おんぼろ車にお金をつかって、ばかだなとあきれている人もいることでしょう。となりのおじさんも、「あれ?」とおどろくと思います。でも、たかが車、されど車。「物」が「物」でなくなることもあるんです。

2.jpg
車やさんが、「私たちも愛着がある車なので、楽しく修理しました」といってくれました。いろんな人に愛されてるふしぎな車です。
posted by あさえ at 15:44| Comment(0) | TrackBack(0) | エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする