2013年11月05日

第98話            なんにもない?

あっというまに、11月になりました。仮住まいの近くにある公園には、カシやシイやクヌギなどが多く、夜散歩をしていると、ぽとぽと音をたててどんぐりがおちてきます。雨がふっているのかしらと思ったら、どんぐりがおちる音でした。今年は豊作かな。お山でもそうだといいのですが。冬眠前のクマが、里におりてきて殺されるニュースは、ほんとうに胸が痛みますから。

 先日、今まで住んでいた家がこわされ、跡形もなくなり、地鎮祭が行われました。黒々とした土が広がる(といっても、そんなに広くないけど)空間は、「ここは、いったい、どこ?」という感じがしました。中央に設えられた祭壇は、四方に青竹がたてられ、紅白の幕で囲まれています。季節の野菜や、昆布や鰹節などが供えられ、なんとも神聖な場所という感じがします。土地の神さまをお呼びして、この土地をつかわせていただく許しを得る儀式だそうです。くわで、「エイッ、エイッ、エイッ」と砂でつくった山をくずしたり、玉串を供えたり、儀式は滞りなく終了しました。今回は井戸もうめるので、米や塩を井戸の空気穴にまき、お祓いをしました。私は、これからの工事が無事に終わり、よい家が建つこと、そしてここに住む者が幸せに暮らせますようにとお願いしました。
祭壇3.jpg
設えられた祭壇。雨のため傘付き。うちは、なにか大事なことがある日はいつも雨。

 60年前にここに父と母が家をたて、こども3人を育てました。最初は二間しかなかった家も、どんどん部屋がふえ、2階ができ、大きくなりました。家族の思い出がいっぱいつまった家でしたが、もうなんにもなくなりました。あんなに、壊されるのがつらかったのに、黒土の空間をみたら、なんかすっきりとしている自分に気がつきました。なんでだろう。目に見えるものではなく、見えないけど心に刻まれたもの。それがあるからかもしれません。家族ですごした日々は、忘れません。天国にいる父と弟も、きっと「いい家がたつよ」と見守っていてくれると思います。今もいっしょですから。

 「なんにもない。でも、いっぱいある。」
そんな不思議な気持ちになった地鎮祭でした。新しい家は息子たちが建ててくれます。息子家族とともに、暮らすことになります。この選択が家族一人ひとりにとって、幸せな選択でありますように。
土地の神さま、どうぞ、よろしくお願いいたします。
posted by あさえ at 10:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする