2015年03月18日

第113話 東風吹かば……

沈丁花の香りがしてきて、春の到来を感じるきょうこの頃です。もうすぐお彼岸。「暑さ寒さも彼岸まで」とはいうけれど、まだまだ寒い日もあって、体調を崩している人もけっこういます。花粉症でただでさえ具合が悪いのに、風邪などひいたらもう大変。気をつけましょう。

さて、家の近くに7.8年前から空家になっている家があります。Yさんという高齢の御夫妻が一匹のマルチーズと暮らしていました。私はYさんと生協で共同購入をしていたので、荷物を届けてあげたりしていました。家は昭和30年ぐらいから建っていて、おばさんは、「近くに竹やぶがあったから気に入って買ったのに、今じゃ駐車場になっちゃって。やんなっちゃうわ。」と言っていました。荷物を届けると、狭い玄関の右側にある下駄箱の上に置きました。犬のにおいが、家中に充満していて、少し窓を開けたほうがいいような気もしましたが、いうわけにもいかず……。いい御夫婦でした。でも、おじさんが亡くなり、犬も亡くなり、おばさんはがっくり。入院を繰り返し、とうとう亡くなりました。それからずっと、家は空家になっていましたが、庭の梅の木は毎年きれいな花を咲かせていました。その梅をみるたびに、菅原道真の句、「東風吹かば においおこせよ 梅の花 主なしとて 春を忘るな」を思い出していました。
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馬酔木の花。馬が葉を食べると酔っ払ったようにふらつくから馬酔木。犬はどうかな

 それが、先週のこと。ばっさりと梅の木が切られていたのです。あれよあれよというまに、家もどんどん解体されていきます。たまらず、家の前に行ってみました。家は、前半分が、えぐりとられたようになっていて、和室の電灯や、台所が見えました。そして、生協の荷物を置いた玄関の下駄箱が、露出していました。Yさんは、もういない。梅の木ももうない。家ももうすぐ消える。土地は更地になって売り出されるのかどうかわかりませんが、そこに暮らしていた人は、完全に消えます。そういうものなのかもしれないし、それでいいのかもしれませんが、Yさんのことを知っている私は、一抹の寂しさを感じます。犬のぬいぐるみを抱いて、病院のベッドに横になっていたYさん。今は、我が子のようにかわいがっていたわんちゃんと一緒にいるかしら。

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あわてて撮ったので見にくくてすいません。行方しれずのタヌキくんです。

 そして、もうひとつ気になることがあります。家のまわりでタヌキの姿が目撃されているのです。私も一度見たことがあります。家の前の私道にいました。毛もところどころ抜けていてやせています。どうも、そのタヌキがYさんの家の庭に住んでいたようなのです。草が伸び放題で、縁側もあるので、隠れ場所には適しているとは思います。でも、その家はもうないので、タヌキの行方が気になるのです。家族みんなで心配しているのですが……。二十三区にもタヌキはいるようです。緑豊かな公園とか、野良犬がいなくて安全とか、雑食だからゴミなどを食べて生きられるとか、いろいろ要因があるのかもしれませんね。近所のタヌキ、元気にたくましく、生きていてほしいです。


posted by あさえ at 15:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする