2019年03月11日

第208話  3月11日とデーデ

きょうは、3月11日です。あの日から8年がたちました。被災された方たちのご苦労を思うと、息が詰まりそうになります。当時わたしは東京で被災地になにが起きているのか、テレビや新聞で把握しようとしていました。それくらいしかできることはなかったからです。なにもできない虚しさを感じていました。そのときに、NHK早朝のニュースで、「被災地に燃料を運べ 緊急燃料輸送」の短い特集をみました。古びたディーゼルきかんしゃが、磐越西線を10両の燃料タンクをひっぱって燃料を被災地に運ぶという計画がJR貨物を中心にたてられ、その一番列車の模様が放送されたのです。それをみて、まさに金縛りというのでしょうか、強い感情でいっぱいになりました。「これはこどもたちに伝えたい」と思いました。そして、童心社の編集者さんに話をしてすぐにJR貨物さんに許可をもらい、現地にとびました。まだ新幹線も在来線も走っていないとき。新潟経由で磐越西線をとおって郡山にはいりました。そして書いたのが、「はしれ ディーゼルきかんしゃデーデ」です。

 たくさんの人たちが、被災地に燃料を運ぶ、という一点に集中して力をあわせて実現した輸送計画でした。そこに使われたのがいまではあまり活躍する場所がない古びたディーゼルきかんしゃたち。「最後にいい仕事をさせてあげられました」というJR貨物の方の言葉がしみます。
 地震直後は恐ろしくてこわくて、くらいニュースが多く、不安になりました。だからこそ、わたしはこの燃料輸送のニュースに「希望の光」をみたのです。そして伝えたい、と思いました。

 3月5日から12日までブックハウスカフェで、4人の作家仲間と「あの日をわすれないで 作家4人の書いたそれぞれの3.11」展を開きました。10日に4人が自分の作品について語りました。わたしはデーデの読み語りをしました。取材のエピソードをたくさん語りたかったのですが、時間がなく残念でした。でも、いろいろ説明しなくても絵本がすべてを語ってくれていると思います。読者の方が、「知らないところでこんなふうに動いてくださっていたことを知って、わたしもだれかのデーデになりたい。」とお手紙をくださいました。
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 そして、福島県立図書館では震災から8年たって、中学生高校生になった子どもたちが福島のことを、調べたい知りたいといってくることがあるということで、「本はともだち 福島を知る・福島を伝える」という冊子を作成しました。そのなかで、震災の絵本のなかから「デーデ」を選んでくださった司書さんがこのようにおっしゃっています。
「 『はしれディーゼルきかんしゃデーデ』は、福島で読み継がれる絵本だと考えています。「デーデの本ありますか?」と親しみを持って聞かれることが多い本です 。私はデーデを、あのとき福島に手をさしのべてくれた人たちの象徴のように感じています。」と。

 わたしが「こどもたちに伝えたい」と強く思ったあの感情はいまでも覚えています。つらかったけど、書いてよかった。デーデはもう、解体されていないけれど、絵本に姿をかえていまも走り続けている。そう思います。
 もうすぐ、2時46分。黙祷を捧げたいと思います。

posted by あさえ at 14:12| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする