2011年04月11日

第72話 さくらの気持ち

大地震から、1ヶ月がすぎました。まだ余震もあるし、放射能の心配もつづいています。ミネラルウォーターがスーパーにありません。雨がふると、水道の水をくみおきしてくださいとテレビでアナウンサーがいいます。日本の水は、安全でおいしかったはずなのに。これからどうなってしまうのでしょう。

わが家の近くの桜がそろそろちりはじめています。今年は、いろんな所でさくら祭りは中止。たしかにちょうちんつけて、桜の下で飲んだり食べたりさわいだりは、あまりすきな景色ではなかったけれど、これだけしずかなのもさみしい気がします。

福島県富岡町では、夜の森公園(よのもりこうえん)の桜が有名だそうです。約500本のソメイヨシノが約2.5キロの道路の両側に並び、桜のトンネルをつくるのだそうです。でも、今年は原子力発電の事故のために住民がひなんして、もぬけのからになってしまいました。
それでも、桜はいつものようにさいているのですね。だれも見る人はいなくても、季節がめぐれば、さくのですね。

お花見は田の神様が桜を目印におりてこられて、豊作をお願いする人たちと飲食をともにする行事だそうです。夜の森公園の桜におりてこられた田の神様は、ぽつんと一人で途方にくれているかもしれません。今年の米はどうなるのだろう。

ニュースでがれきの間から、黄色いクロッカスのつぼみが顔を出した映像を見ました。生まれたての黄色の美しいこと。
桜もクロッカスも春がきたよって、教えてくれる花たちですが、今年はどんな気持ちでさいているのでしょう。
私は思います。桜やクロッカスは、みんなに、きっとこう伝えたいのだと。「春はくる。くるからね!」

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桜と菜の花とまるちゃん。みんな、春だよー!
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2011年03月13日

第71話 地面がゆれた!

3月11日金曜日、みなさんはどこにいましたか。私は港区三田にいました。マンションの1階。ぐらっとゆれたとたん、体がたおれそうになったので、あわてて机につかまりました。「玄関のドアをあけて!」と声が聞こえました。そうだ。にげ口を確保しなくては。となりの部屋の人もとびだしてきて、「つぶれたらどうしよう」といいながら廊下をうろうろしていました。

ゆれがおさまると、家族のことが心配になってきました。母は出かけているはず。母に携帯電話をかけたらつながらない。固定電話でもつながらない。電車もストップ。幸い、その日は車できていたので、スタッフ二人を練馬と高円寺に送っていくことにしました。でも車はまるで動かないし、道路を歩く人たちの多いこと!日常がこわれている……。

18時に事務所を出ました。23時ごろ花束を高くかかげて歩く男の人のうしろに高校生ぐらいの人たちが一列になって歩道を歩いていました。きっとどこかの避難所にいくところなのでしょう。先生がいっしょなら安心です。車道を歩いているあぶない人たちもいました。
結局、家についたのは夜中の2時。家族もみな無事で、母がいうには、一人でお留守番をしていた柴犬まるは、落ちた本や額ぶちや花びんの真ん中で寝ていたそうです。けががなくてよかった。

次の日、一応地震にそなえて非常用品をそろえました。たくさんリュックにいれすぎて、重くて背負えないことに気づき、ほんとに必要なものだけを入れなおしました。まるのフードもそろえ、愛護団体にあずけることになるかもしれないので、性格をメモしました。鑑札も首輪にぬいつけました。

ふつうに夕食の買い物にお店にいったら、米、カップめん、水、トイレットペーパー、ティッシュ、牛乳などがほとんどない。びっくり。次の朝9時30分に、郵便局にいったついでにスーパーによろうとしたらすごい行列。うんざりな気持ちになって、なぜか和菓子屋さんでみたらし団子を買って、花屋でチューリップを買って帰りました。

今回、息子たちの岩手に住む幼友だちがなかなか見つからず、心配していたら無事であることが確認されました。お母さんがメールで送られてきた避難所でのMちゃんの写真を私に届けてくれました。その写真をへやにはりました。ほんとによかった。でも命を落とした方やご家族のことを考えると気持ちがしずみます。

人間は自然をあやつれないのだなとすごく感じています。でも人には助け合いと思いやりが与えてくれる力がある。空になったスーパーの棚は、幻だったと思いたい。

私も被災地のみなさんのために自分ができることを、考えたいです。

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非常用品。
私と夫のナップザック。まるのフードと水の入ったバッグ。
必要にならないことを願うばかり。
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2011年02月21日

第70話 自分がわからない

毎日、本当に寒いです。外を歩くとき、背中が丸くなってしまいます。こんな季節は家で手仕事をするのがいいですね。こたつでぬくぬくしながら、針仕事。いいですね。みなさんは、毛糸でマフラーを編んだり、刺繍(ししゅう)をしたりするのがすきですか。

考えてみれば、小学生の時は家庭科でぬい物をよくやりました。まず、ぞうきんをぬうことからはじまって、手さげバックやパジャマ。テーブルクロスの刺繍。たしかクロスステッチだったかしら。中学生では、ワンピースをぬいました。よくやったと自分に拍手をしてあげたい気分です。今ワンピースを作ってごらんといわれてもやる気すらおきません。第一、私は手先が器用ではないのです。

でも、でも。ときどき、「コレ、作ってみたい!」とお腹の底から思うときがあります。たとえば刺し子(さしこ)。刺し子は日本に古くからある手芸の一つで、木綿の布を糸でぬい、補強したのがはじまりだそうです。糸が描き出す素朴な模様がとてもいい感じです。麻の葉の模様は、麻のようにじょうぶに育つようにと赤ちゃんの産着にも使われます。単純だけどすてきな意味のある模様と糸のポツポツとした縫い目がきれいで、「やりたーい!」と思いました。そして、「刺し子セット」を買いました。いえ、買ってしまいました。

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刺し子セットとつるし雛セット。新品そのもの。

まだあります。もうすぐ、ひな祭りです。豪華なおひなさまもいいけれど、縁起のよいかわいらしい小物をつるした「つるし雛」の美しさに感動しました。娘が健康に幸せに成長するように一つひとつ心をこめて作るのです。娘はいないけど、「つくりたーい!」と思って、「つるし雛セット」を買いました。いえ、買ってしまいました。

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手作り人形セット。かわいらしくてすごく作りたかったんだけど。

悲しいことに、刺し子もつるし雛も今だにパックされたままの姿で横たわっています。はあ〜。ついでに、言いましょう。「手ぶくろ人形」「手づくりおもちゃ」のセットも横たわっています。気の毒に。
作りたい、なんとかしなければと思うのですが、セットが届いたとたん満足してしまい、やる気がしゅっとしぼんでしまうのはなぜでしょう。自分にもわからない。

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てぶくろ人形セット。ぜったい柴犬まるは喜ぶと思うのだけど。

母が子どものころは、習い事は3月3日にはじめるのが普通だったそうです。習い事ではないけれど、私も今年の3月3日に、まず刺し子からはじめてみようかしら。つるし雛までにはちょうど1年あるし。でもできるかなあ。やっぱり、わからない。
posted by あさえ at 17:40| Comment(0) | TrackBack(0) | エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする